夜の街を疾走する
僕は週2回、22時過ぎのサンフランシスコの街を自転車で疾走している。
自転車の前に白色の点滅灯を、後ろに赤の点滅灯を、さらに、
背負っているリュックに更にもう一つ赤の点滅灯をつけて。
僕は火曜日と金曜日、Greeterのシフトの関係で、22時までCIISにいる。
その日一日、最後のクラスを受けた人たちを見送ってから、
僕はSunsetにある家に向けて、ペダルを踏む。
サンフランシスコの夜は、日本に比べてとっても暗い。
24時間のコンビニエンスストアが、東京のように街中に散らかってもいない。
僕は繁華街を抜けて、いくつもの住宅街を抜ける。
途中、ゴールデンゲートパークを小さく横切る。
この時間帯はスプリンクラーが芝生に水を撒いている。
残念なことに、その何台かは、僕が走る道にも大きくはみ出して、水を放射している。
最近は上手にかわせるようになった。
パーク内にある高くて大きな木々の枝は、空の闇に溶け込んでいる。
前方には月が孤独に照っている。この道の先は…、海だ。
冷たい夜風を両腕に感じながら、僕は無言でペダルを踏む。
風を切る音しか聴こえない。
白と黒と、無音の世界の中で、前と後ろの三つの点滅灯だけが、
忙しくぺちゃくちゃ話している。
なんとなく…、
サンフランシスコの街外れの夜は、宮澤賢治の世界みたいだ。
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