才能と、物語と感動。
イギリスのオーディション番組、「Britain's Got Talent」の準決勝が始まった。
僕はweb上で結果と映像を確認しているだけだけど、以前このブログで触れた予選と
比較して、その違いに感じることがたくさんある。
予選と準決勝では何が大きく違うのかと言うと、何と言っても「期待値」だ。
準決勝では、観客は最初からパフォーマンスに期待している。
しかし予選では違った。
番組の趣旨からいっても、パフォーマーたちはさほど期待されていない。
そもそもが素人なのだから。
だから、その素人が観客や審査員の「期待」を裏切るパフォーマンスを見せた時、
大きな感動が生まれた。
パフォーマーたちは、
つい先日まで多くの観客と同じように「自分たちのサイド」にいた人たちなのだという事実。
そして、諦めずに努力を重ねてきたのであろうその歳月。
さらに、チャンスをつかむために舞台に立ったその勇気。
最後に、事前に共有されている彼らの人生のもろもろのストーリー。
それらが僕たち観客の想像力をかきたて、パフォーマンスの感動の増幅機として働いた。
でも、準決勝では、その増幅器が働かない。
なぜなら、観客の期待値は最初から高いから。パフォーマーの背景にある、
処々の物語は既に期待値に織り込まれてしまっているから。
多くのパフォーマンスの感動を生みだしてくれた「ギャップ」は既に埋まっている。
だから、準決勝では、純粋に「才能」が問われてしまう。
いや、もし準決勝でも何らかの方法で「ギャップ」を作り出せるパフォーマーが
いたら、それも何かの才能だろうと思う。同時に、準決勝のプレッシャーの中で、
予選を上回る驚きと興奮を与えることができたのであれば、その才能はかなり
突き抜けているということだ。
個人的な見解だけど、準決勝で予選を越える感動を与えてくれたパフォーマーは少ない。
予選とは違う緊張感もパフォーマーたちに影響していたのかもしれないけど。
そんな中でも僕が素敵だなと思ったパフォーマンス、
Julian Smithのソプラノサクセフォン。
すごいなと思ったパフォーマンス、Aiden Davisのダンス。
毎回高まっていく観客やクライアントからの期待を越えつづけることの
できる一握りの人が、Tatentとして輝き続けることができるのだろう。
なんだか、つまされる話だ。
さて、いよいよ明日が決勝です。
詳しくはこちらで。
http://talent.itv.com/
<付録>
才能は「驚き」を与えてくれる。でも、それは「感動」とは少し違うのかもしれないと思った。
真の感動は、才能だけではなく、そこにパフォーマーの人生を感じたり、
自分の人生を重ね合わせたりした時に起こる。つまり、そのパフォーマンスに何かの
「物語」を発見した時に。
2 Grandは、おじいさんと孫娘のペア。準決勝では予選以上のパフォーマンスで
見事決勝進出を勝ち取った。彼らには、感動があった。今や失われつつある
「大家族」という物語が、パフォーマンスを効果的に引き立てた。
「物語」は、感動を膨らませてくれる。
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